お寺や神社は「入り方」が一番大切。敬意を示す服装と一礼の心得

仏閣 心のヒント
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最近は、若い方からご年配の方まで、多くの方がお寺や神社に足を運んでくださるようになりました。御朱印集めを楽しまれたり、美しい庭園や建物を眺めて心を落ち着かせたりと、その目的は様々でしょう。私たち僧侶にとって、お寺が人々の憩いの場となることは、この上ない喜びです。

ただ、多くの方が訪れるようになったからこそ、少しだけ気にかかる光景も目にするようになりました。それは、お寺や神社の「入り方」です。素晴らしい仏像や美しい建築に目を奪われる前に、服装を気にする前に、実はもっと大切な、参拝の第一歩があるのです。

それは、山門や鳥居をくぐる前に行う、たった一度の「一礼」。 今回の記事では、服装のマナーももちろんお伝えしますが、それ以上にこの「最初の一礼」に込められた意味と、なぜそれが大切なのかを中心にお話しさせていただきたいと思います。

なぜ「最初の一礼」が大切なのでしょうか?

お寺の入り口には「山門さんもん」、神社には「鳥居とりい」がありますね。これらは単なるゲートではありません。私たちが普段生活している「俗世」と、神様や仏様がいらっしゃる「聖域」とを隔てる、大切な結界なのです。

その結界を越えて聖域に入らせていただくのですから、「お邪魔します」「これから神聖な場所に入らせていただきます」という謙虚な気持ちと敬意を表すのが、山門や鳥居の前での一礼です。胸の前で手を合わせ、軽く頭を下げる。たったこれだけの所作ですが、この一礼をするかしないかで、参拝に臨む心持ちは大きく変わってきます。

賑やかな観光地から一歩足を踏み入れるとき、この一礼は、ご自身の心を「観光モード」から「参拝モード」へと切り替える、大切なスイッチの役割を果たしてくれるのです。背筋がすっと伸び、騒がしかった心が静まっていくのを感じられるかもしれません。まず、この一礼から、あなたの参拝を始めてみてください。

心を映す鏡。敬意を表すための服装とは

さて、清らかな気持ちで一礼をし、聖域へと足を踏み入れたなら、次は服装について考えてみましょう。服装は、あなたの心を映し出す鏡のようなものです。一礼で示した内なる敬意を、今度は形で表すのが身だしなみです。

ここで思い出していただきたいのが、お寺や神社は「観光施設である前に、祈りの場である」という事実です。そこには、日々熱心にお祈りをされる方や、静かに修行に励む者がおります。あなたの服装は、神様や仏様に対してだけでなく、その場所を大切に思うすべての人々への配慮にも繋がるのです。

特に厳しい決まりがあるわけではありませんが、神様、仏様の前に進み出るにふさわしい、敬意のこもった服装を心がけたいものですね。

心がけたい服装

  • 清潔感のある服装 シワや汚れのない服装を基本としましょう。
  • 落ち着いた色合い 原色や蛍光色などは避け、自然に溶け込むようなアースカラーや淡い色合いが望ましいです。
  • 肌の露出を控える 特に夏場は油断しがちですが、タンクトップやキャミソール、短すぎるスカートやショートパンツは避けましょう。肩が隠れるくらいの袖丈、膝が隠れるくらいの丈が安心です。薄手のカーディガンなどを一枚持っておくと、調整ができて便利ですよ。

避けるべき服装

  • 過度に肌を露出する服 タンクトップ、ミニスカート、ショートパンツなど。
  • ラフすぎる服装 ダメージジーンズ、スウェット、ジャージなどは、部屋着の印象が強く、祈りの場にはふさわしいとは言えません。
  • 派手な柄やメッセージ性の強い服 殺生を連想させるアニマル柄や、過激なメッセージが書かれたTシャツなども避けた方が賢明です。

細部にも心を配る。足元と持ち物のマナー

服装全体に気を配れたら、次は足元や持ち物といった細部にも少しだけ意識を向けてみましょう。こうした細やかな配慮が、あなたのたたずまいをより一層、敬意に満ちたものにしてくれます。

  • 靴について お寺では、本堂に上がってご本尊様を拝ませていただく機会が多くあります。その際に慌てないよう、脱ぎ履きしやすい靴を選ぶとスムーズです。また、境内は砂利道や石段も多いので、ヒールの高い靴や歩きにくいサンダルは避け、スニーカーやウォーキングシューズのような履き慣れた靴がおすすめです。 そして意外と見落としがちなのが靴下です。裸足で本堂に上がるのはマナー違反とされていますので、サンダルで訪れる際も、靴下を持参すると良いでしょう。
  • 帽子について 日差しを避けるための帽子は、もちろん被っていただいて構いません。しかし、聖域との結界である山門や鳥居をくぐる際、そしてご本尊様やおやしろの前に進み出るときには、必ず脱ぐのが礼儀です。これは、洋の東西を問わず、敬意を示す際の共通の作法ですね。

【住職の小話】作法は心を育てる

私自身も、毎朝の勤めは、本堂に入らせていただく前の一礼から始まります。長年の習慣ではありますが、決して形骸化することはありません。手を合わせ、頭を下げるその一瞬に、「今日も一日、仏様のお側でお勤めさせていただきます」という新鮮な気持ちが蘇るのです。

「形から入って心に至る」という言葉があります。最初は見よう見まねの作法かもしれません。しかし、その形を繰り返し実践していくうちに、次第に心が伴ってくる。作法とは、心を縛る窮屈なルールではなく、私たちの心をあるべき場所へと導き、育ててくれる智慧なのです。 皆さまも、ぜひ騙されたと思って、入り口での一礼を実践してみてください。きっと、いつもとは違う、穏やかで澄んだ気持ちで参拝ができるはずです。

まとめ

お寺や神社を訪れる際に、最も大切にしていただきたいのは、神様・仏様、そしてその場所を大切にする人々への「敬意」の心です。

そして、その敬意の心を表現する最初のステップが、山門や鳥居をくぐる前の「一礼」です。 服装や持ち物への配慮は、その後に続く、敬意の心の具体的な表れです。

たくさんのルールを覚える必要はありません。ただ、「神聖な場所にお邪魔させていただきます」という、素直で謙虚な気持ちを忘れずにいてくだされば、自ずとあなたの振る舞いは然るべきものになるはずです。 この記事が、皆さまの参拝をより心豊かで意義深いものにする一助となれば、幸いです。

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